夜に窓を開けるとスーッと涼しい風が入ってきて、すっかり秋だなと感じます。
窓をあけて入ってくるのは風だけではなく、耳を澄まさなくても聴こえてくる程の虫たちの鳴き声の数々。私はこの声にゆったり耳を傾け、誰の声なのか、何種類いるのかを数える時間が好きです。
「あれマツムシが ないている チンチロチンチロチンチロリン~♪」「秋の夜長を鳴き通す~♪」秋の鳴く虫の童謡があるように、この時期は多くの種類の声を聴くことができます。
“鳴き声”といっても声帯があるわけではなく、翅(はね)をこすり合せて音を出したりします。主にオスが鳴く種が多く、メスへの求愛や縄張りを主張するために鳴いており、前述の童謡にもあるように種類によって鳴き声が全く異なることに面白さを感じます。
鳴く虫の私の楽しみ方は2つあります。
1つ目は、この声の主がどんな風貌でどのように鳴いているか、声をたどって探すことです。私は鳴く虫を勉強中で、図鑑で特定する前に出会うことから始めています。
探し方はいたってシンプルで、鳴いている虫の邪魔をしないように、静かにゆっくりと一歩ずつ近づいていきます。途中で鳴きやんでしまっても、じっと待てばまた鳴き始めますので、きっと辿り着けるはずです。
この時のおすすめは、声から顔つきや体の大きさなんかを事前に想像しておくと、「え!思ったよりカッコいい!」とその姿にときめいたり、「こんな小さな体で、こんな大きな音を出していたの!?」とその実力に圧倒されたり、出会った時に想像とのギャップを楽しむこともできます。
8月に出会った「スイーチョン」と鳴くハヤシノウマオイ。「どうやったらそんな音がでるの!?」という程の小刻みな翅の震わせ方に見入ってしまいました。
2つ目の楽しみ方は、冒頭にあったようにBGMとしてゆったり聞くことです。
この時、ある絵本の世界観を思い出して開きたくなるページがあります。
『むしたちのおんがくかい』という本です。いろんな種類の虫たちが集まって、苦難を乗り越えて音楽会を開催するお話で、最後にみんなで合奏するページが、賑やかで楽しそうでお気に入り。“みんなで合奏する”という現実にはないであろうファンタジーな内容ですが、その世界観がとても好きなのです。
そしてその世界観から想像が広がります。
絵本のように、週一回程度はみんなで集合して合奏しているのではないか…なんて考えたり。となると、その音楽会に向けて、みんな自主練を日々重ねているのではないか!…と、私の頭の中には絵本の延長でファンタジーな世界が広がります。更には、「その音楽会行きたいな~、時間と場所が書かれた招待状とか届かないかな~」なんてところまで、BGMを聞きながら想像をして楽しんでいます。
場所によって聞こえてくる種類は違えども、この季節はきっとどこでも何かしらの虫が昼夜問わず鳴いているはずです。
よーく聞き入ってみると、複数の種類がいることに気が付いたり、お気に入りを決めれば「あ、今日も鳴いているな~」と、ちょっとだけ親近感が湧くかもしれません。少しの時間があるのであれば、声を辿って探してみれば会えた時はなかなか嬉しいものです。
「むしたちの」絵本はシリーズがあって、虫が好きな方はもちろん、苦手な方でも楽しめると思います。「おんがくかい」はこの季節にぴったりなのでオススメです。
夏に大人気のカブトムシやクワガタに劣らず魅力を持っていると思うので、ぜひ秋虫たちが奏でるオーケストラを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
きっと、今日もどこかで音楽会が開催されているはずです。
【おまけ】
絵本のお気に入りのページを実写版にしてみました。
虫たちはフィギアですが、本物の鳴く虫が1匹混ざっています。ぜひ見つけてみてください!※最初の写真には本物はいませんので比べてみてください。
【おまけ②】
自然學校のYoutubeチャンネルで堂々の再生回数を誇る、「秋虫の声12選」
作業音にするもよし、図鑑として活用するもよし…。
【おまけ③】
自然學校に宿泊のお客様へ鳴く虫のレンタルも計画中…。準備が整っていればレンタルできるかも…!
「インタープリターのリレーブログ【○○の秋】」
3.棟方「音楽会の秋~むしたちの合奏~」◁
ーー↓更新予定↓ーー
4.黒坂(9月27日)
5.旭 (10月4日)
6.工藤(10月11日)
7.浅田(10月18日)
8.佐藤(10月25日)
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