朝晩の気温がグッと下がり、キノコの季節がやってきました。キノコが大好きな私は、いつもなら5分で歩き終わる道を20分かけ、気づいたら両手で持ちきれない程抱えて歩いています。
今回はキノコにハマって11年、私の出会ってきた秋の食べられるキノコ達をご紹介します。
夏が過ぎ、ようやく気温が下がり始めた秋の森には真っ赤な傘のタマゴタケが現れます。
判別しやすい特徴的な見た目でありながらも、とても美味しい食用菌として有名です。赤い傘に目が向きがちですが、私は柄の黄色いダンダラ模様がお気に入りです。まだ新しいものだと、ヒダを覆っていた膜が破れてレースのように広がっている様子がたまらなく可愛いですよ。
タマゴタケは時期が来ると一斉に生え、わずか数日のうちに跡形もなく消え去ります。その一瞬さえ見逃さなければ、食卓は赤と黄色で囲まれます。
癖が無く、口あたりの良いやさしい味わいで、バターや卵料理によく合います。
4年前に出会った高さ20㎝越えの超大物を見つけたときは、喜びで飛び上がりました。
次に、秋の森の中で目立つのはイグチタケの仲間達。タマゴタケと異なり地味な色合いの種類が多いですが、注目すべきは何といっても大きさです。
パンケーキのような見た目にどっしりとした太い柄で、存在感があります。イグチ科はヒダがなく、管口という細かい穴から胞子を飛ばすのが特徴です。イグチタケのなかでも、特に美味しいのがヤマドリタケの仲間で、ヨーロッパではポルチーニと呼ばれる高級食材とされています。日本でもヤマドリタケモドキやアカヤマドリ、ムラサキヤマドリなど、美味しい種類がいくつか見られます。
こちらは小ぶりのムラサキヤマドリですが、まだ管口が開いておらず、ギッシリ詰まって美味しそうです。
「アカヤマドリを切った様子。肉厚でハムみたい」
ヤマドリタケは香りがよいので、シンプルに焼いたり、クリームパスタにして食べると最高です。
キノコが生えるのは山や森だけではありません。実家の畑の脇では、大きな白い玉のようなキノコ、オニフスベに出会いました。
遠目からはボールが転がっているように見えるかもしれません。しかしこのキノコ、大きくなると茶色のホコリ玉のようになり、すさまじい量の胞子を全体から吐き出し始めます。
大きく成長したものがこちら。胞子を飛ばすフカフカの球体の中はスポンジ状になっていて、胞子がギッシリ詰まっています。間違えて踏みつけようものなら、足首まで茶色に染めてしまうオニフスベですが、実は若く白いうちは食べられます。
スライスしてバターソテーと天ぷらにしてみました。
すごーくいい感じの見た目なのですが…絶妙に美味しくないんです。ハンペンのようなフニャフニャの口あたりに、なんとも言えない香り…食べられなくはないな、という感じでした。でも、キノコにハマった頃からずっと食べてみたかった種類だったので、とても嬉しい出会いでした。
他にも、アカモミタケ、クリタケ、ヤマブシタケなどなど、20種類程のキノコを食べてきました。野生のキノコは見た目も香りも千差万別で、図鑑を眺めるだけでも、どんな味がするんだろう、と心躍ります。
とは言っても、野生のキノコは有毒種が怖くて、中々食べられないですよね。
実際、私が森を歩いて30種類のキノコを見つけるうち、9種類(30%)は有毒か美味しくない種類です。1種類(3%)だけ食べられるのがあればラッキー、残りの20種類(67%)は図鑑で調べても名前が載っていません。それくらい、食べられるとハッキリ分かるキノコとの出会いは貴重です。
そんな30分の1の出会いを見分けるため、私がキノコを食べるときは傘、ヒダ、柄の全体をくまなく観察し、特徴を見比べます。
例えば、タマゴタケのような赤い傘と黄色の柄をもつキノコを見つけました。
しかし、裏側をよく見ると…
ヒダだけ真っ白でした。タマゴタケはヒダまで黄色のハズ。安易に一部の特徴だけを確認し、食べるわけにはいきませんね。
そんな特徴を元に5冊の図鑑を併用して調べています。
「私が利用している5つの図鑑」
理由は2つあります。
1つ目に、同じ種類でも、成長段階や乾燥具合によって、色合いや質感が全く異なり、一つの図鑑だけでは判別できない時があります。
これは、11年前、私が初めて食べた野生のキノコ、マツオウジです。
「どちらもマツオウジ。大きなものは白い傘ですが、若い時は黄色が強く、全く違う種類のような姿です」
当時の私は「家の光協会発行きのこ図鑑」1冊だけ持っていましたが、黄色い傘の若い個体のみ掲載されており、大きな個体をマツオウジだと判別できませんでした。別の図鑑に大きくなった白い個体が載っており、初めて気づけたのです。
2つ目に、図鑑によって載っている情報が異なることがあります。キノコの世界はまだまだ謎が多く、分類の変更や新種の発見により頻繁に更新されます。
例えば、少し古い図鑑では優秀な食用として掲載されていたスギヒラタケというキノコがあります。
従来食用とされてきたキノコですが、死亡例があり、猛毒種と改訂されました。古い図鑑だけでなく、新しい図鑑も併用しないと思わぬ落とし穴があるかもしれません。
そこまで調べ上げ、似ている猛毒種がなく、はっきりとした特徴が判別できたキノコだけを選んで食べてきました。それでも11年で20種類程。一般的な図鑑に載っている食べられる日本のキノコは200種くらいですから、まだまだ未知のキノコにチャレンジできそうです。そんなキノコとの出会いを求めて、今年も、秋の森を歩いていきます。
※野生のキノコの食について触れていますが、食べる際は必ず専門家の指導の下、よーく調べてから自己責任でお願いします。
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