子どもの頃に外で遊んだ思い出と言えばどんなことを浮かべますか。私は長良川沿いの山間部で暮らしていました。川遊びや木登り、魚釣り、虫捕りと自然の中を駆け回っていた思い出がたくさんあります。時々、そんな子どもの頃の記憶を思い返しています。
今でも忘れられない、小学生時代の出来事をご紹介します。
私は小学3年生の頃、秘密基地をつくるため、近所の公園にあるアラカシの木に登ろうとしたことがあります。根元には鳥居支柱が備えられ、そこから数十㎝おきに2本、細い横枝が伸びています。たくさんの枝葉が体を包み隠してくれそうな木を見上げ、「あそこまで登れたらきっと秘密基地のようになる!」と、高いところが苦手な私の心が動かされました。
「記憶に残るアラカシの木を絵にしてみました」
鳥居支柱によじ登り、2本の細い横枝に手をかけ、足をかけ、バランスをとりながら体重を引き上げることに苦労しました。結局、一番上に到達できたのは4年生半ば頃だったと思います。
苦労して到達した時の感動は今でも忘れません。公園が隅々まで見渡せ、いつもは見上げる大人たちの顔が遥か下にうかがえます。自分だけの空間を手に入れた!と達成感。
また、木の上ではすぐ手の届くところに緑色のドングリがありました。今までは地面に落ちて茶色になった実しか手に入らず、周りの友達は誰も持っていないものを手に入れた特別な体験でした。
「緑のドングリは特別な存在でした」
この木登りは、今でも鮮明に心に残っています。
思い返してみて、ハッとしました。もし、この体験がなかったら(思い出せなかったら)、きっと私は同じように木登りしている子どもを見かけても危ないからと止め、別の秘密基地探しを提案していると思います。肩車して緑のドングリを採っていたかもしれません。
今ではあの体験があったからこそ、どうやって木に登ろうか、上には何があるんだろう、と子どもと一緒に考え、全力で応援できるんだと思います。
子どもと関わる時、どんな言葉かけをしたら、どんなことを伝えたら…と悩むことは多くあります。でも自分で経験し、今でも鮮明に思い出せる体験には、キャンプやプログラムで子ども達と関わる時の大切なポイントが眠っていると信じています。
これからも自分の心に残っている原体験をふりかえりながら、子どもと接してみようと思います。
リレーブログ『子どもたちと関わるとき大切にしていること』
5.浅田「裸の心」
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