私は1人で山を登ることも好きですが、人と一緒に登ることも好きです。登りきった喜びを分かち合うと、1人の時よりもその喜びが大きくなるように感じるからです。同じ体験をして、その感情を言葉に出して“共感”することは、感情の倍増や肯定にも繋がると思って大切にしています。
数年前、「共感した時間」で心に残っている出来事がありました。
夏休みに昆虫採集をするキャンプをした時のこと。
そのキャンプには虫が大好きな子もいれば、ちょっと興味がある子まで、幅広い子が参加していました。
ある小学1年生の男の子、A君は後者で興味はあるけど虫の名前は知らないような子でした。周りの虫好きの熱に圧倒されていながらも、本物のカブトムシを見ることを楽しみにしていました。
2泊3日、とことん昆虫採集をしていく中でA君の経験値はグンと上がり、新しい世界が開けたように目の輝きが増していきました。その様子に私もとても嬉しかったです。
夕食前の空いた時間に、A君が私のところに走ってきて、窓際まで手を引かれました。
「びっきー、これって、これ?!」と窓の桟に落ちていたキンバエと昆虫図鑑を交互に指さして聞いてきました。
「それだね、良く見つけたねー!」と答えると、キンバエをじっーと見つめて「キレイ……」と、目を輝かせて言いました。
キンバエの体はメタリックでまるで宝石のようにキラキラと光り、自然光に照らされて青や緑のグラデーションに見えて本当にキレイでした。
心から私も「ほんとにキレイだね…」と。2人で何度もキレイだと言いながら、見つめていました。
衛生害虫とされるキンバエを、キレイかどうかの視点で見た事がありませんでしたので、私自身、こんなにじっくり、そしてうっとりハエを見たのは初めてでした。
A君にとってキンバエは、自分で見つけて、自分で何物かを調べて知った、初めての虫だったようです。そんな初めてという特別な瞬間に、私が共感せず「汚いから触っちゃダメ」や「なんだ~ハエか」などの反応を万が一していたならば、A君の感動や見つけた喜びは無かったかもしれません。
因みに、A君とはハエをうっとり観察したあと、一緒に図鑑を見てハエの生態を確認しました。キャンプ中にA君は無事にカブトムシも見ることができて喜んでいました。
大人になるにつれて、ハエが菌を媒介するリスクを持っているという知識を身につけ、防衛のために避けるのは正しいと思っています。しかしこの出来事から、大人の常識や固定概念で、子どもたちの感性を磨くチャンスを無くしてはいけないと改めて感じました。
共感から得るものがあることを体感した出来事でした。
子どもキャンプは、一緒に遊んで楽しみ、一緒に頑張り喜び、一緒に作って味わう。たくさんの共感に溢れており、私の大好きな時間です。
もちろん、思っていないことに嘘をついて共感する訳ではなく、気持ちに寄り添うことを心がけています。
子どもたちの持っている無限の可能性や純粋な感情には、感心させられることばかりであり、そんな子どもたちの感性を磨く一助になれるよう、これから体験からたくさん共感をしていきたいと思っています。
リレーブログ『子どもたちと関わるとき大切にしていること』
5.浅田「裸の心」
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