自然学校では今年も冬季シーズンが始まりました。12月15日に1m以上の積雪があったのは3年ぶりくらいで、今シーズンは初日から雪のプログラムが実施でき幸先のいいスタートを切ることができました。
積雪するとフィ―ルドのいたるところが活動できる場所になります。そこで活躍するのが歩く道具スノーシューです。しかし、便利なようでこの歩く道具も、うまく特徴をつかまないと十分に力を発揮することができません。例えば新雪ふりたての時は、スノーシューを履いたとしても膝上まで沈み、足をあげてもなかなかスノーシューが雪上に浮上しない、100m進むのに一苦労で時間もかかり、息が上がってとてもしんどい思いをします。
誰も歩いていない雪上を歩き進むことを、雪山登山の世界では「ラッセル」といいます。グループで歩く場合、先頭を歩く人が苦労して後続の人のために雪道を作るのです。雪の活動はわくわくしますが、このラッセルを考えるとちょっと溜息が出てしまうのです。
ところが野生動物たちは、いとも簡単に雪の上を歩いています。その秘密はおそらく彼らの体を覆っている体毛と、体の仕組みが持つ力にあると思います。
例えばノウサギの前後両足は足の裏まで毛に覆われおり、カンガルーのように太く発達した大腿とびっくりするくらい大きな後ろ足で、どんな深雪でもトップスピードで駆けることができます。
ウサギの天敵の一種であるテンも驚くべき雪中移動術を持っています。テンは長い胴体の割には足が短いので、深雪の移動は常に体が雪と接している状態です。
しかしその全身柔らかい毛に覆われた長い体の特徴を活かして、シャクトリ虫のような動きでスムーズに雪上を動き、雪だまりには一本の線のように飛び込み雪壁を貫通して向う側へ抜けるダイナミックな移動をします。体を覆う毛の並びは、毛先は体の後を向いた方向で毛並がそろっています。雪と接しても体が滑るように進みやすくなっているのです。
ヤマドリのように歩くことが多い鳥でも、雪だまりから移動する時に、羽毛に覆われた流線型の体格を生かしてヘビのように体をくねらせて雪を割って進むのを見たことがあります。
動物たちの毛や羽毛は雪をはじき浮力を生み出していて、実にすぐれた仕組みになっています。そこに体の形や力をうまく利用するので、雪の中でも駆けたり跳ねたりすることができるのです。ちなみに山スキーと呼ばれるスキーでは、歩く時に板に着用するシールは、昔はアザラシの毛皮を使っていたそうです。
私自信もこの冬はトレッキングで歩くことが多いので、動物たちをお手本にまずは相棒となる道具・スノーシューをちゃんと使いこなして、華麗なるラッセルを皆さんに披露できるようにしたいと思います。
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