森に出かけられない方々のために、白川郷の森の今を、自然學校のガイドならではの切り口で、新型コロナウイルスの影響が収束するまで(仮) 毎日、お届け。
今週のテーマは「森の穴」です。
森を覆い尽くしていた雪がとけたばかりで木々がまだ伏せているこの時期は、森林整備や動植物調査などで森に分け入る機会が多くなりますが、大きな木の根元などに大きな穴が開いているとドキッとします。
これらの穴はクマの冬ごもりに使われることがしばしばあります。白川郷の森にはツキノワグマが暮らしており、冬ごもり中に出産することで知られています。冬が明けても、しばらくの間はよく留まることから、注意が必要です。間違っても、不用意に近づいたり、覗いたりしないでくださいね。
冬ごもり中のツキノワグマの様子はまだよくわかっていませんが、2011年に上野動物園が人為的な冬ごもり環境下でのツキノワグマの繁殖に成功し、多くの知見を得ることができました。
その結果、出生時には81日間、1歳の誕生日を迎える冬は71日間を親子で冬ごもりしたそうです。私たち人間は2週間の自宅待機でも辛いのに、彼女やその子どもたちは狭い穴の中でじっと春を待っているのですね。
ツキノワグマは、一般的に生まれた冬から翌年の夏頃までの約1年半の間、母グマとともに暮らします。その間、生きる術を母親から学びながら、独り立ちすると考えられています。クマの親たちは、その背中で厳しい冬の乗り越え方を子どもに伝えているのでしょう。私たちも子ども達に困難に打ち克つ姿を見せたいものです。
間もなく、山々には新緑がまぶしい季節が訪れ、クマの親子も元気に森を歩き回ることでしょう。人々が自由に森を歩ける日も、一刻も早く訪れますように。
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