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お茶の間ネイチャーガイド -小さな隣人「壁の中のハチ」-

生き物

スリリングなご近所付き合いの話です

みなさんこんにちは!

長年自然學校で昆虫係をしていると、よくも悪くもお付き合いが深くなる虫がいます。

 

今回の「お隣さん」、スズメバチもそんな相手です。

 

スズメバチといえば、思い出すのは2016年。

この年はスズメバチが「大当たり!」の年で、夏から秋までずっとハチの相手をして、色々な巣を見ることができました。

 

普通、スズメバチの巣といえば、こういうのを想像される方が多いのではないでしょうか。

 

これはキイロスズメバチという種類の巣です。よく軒先についていますよね。

しかしこの年は、他にこんな巣も見つかりました。

 

 

なんと、壁に空いた穴を広げて、中に巣を作られてしまいました。
(※自然學校の壁は、翌年に全て作り直しましたので、今は大丈夫ですよ)

 

自然學校にいるスズメバチの仲間は8種類。

石と石のすき間、土の中、木の洞、ヤブの中など、それぞれ巣作りの場所に好みがあります。
この写真のチャイロスズメバチは、特に狭いすき間に巣が作られている(※)ことが多いです。

さて、写真のハチは何やら白いものをくわえていましたね。
しばらく見ていると、これを次々に運び出して巣の外に捨てています。 

 

この捨てられた白いものの正体、実は断熱材です。

夏のタイミングで削って捨てていた理由は、ハチが増え、手狭になって巣の拡張工事をしていたのではないかなと考えています。

春の夜でも時には0℃近くになる自然學校ですので、十分に暖かくなるまで、断熱材が役に立っていた可能性は十分ありそうです。

 

 

不動産屋風に書いてみると、

日当たり良好、餌場まで1分、雨漏りなし、断熱材入り。

 

チャイロスズメバチは吹きさらしの枯れ木に作られた巣もいくつか見ましたが、それらよりはずいぶん快適そうに思えます。

 

人工物は人間が心地よく使えるように作られていますが、他の生物にとっても魅力的なことが多い、のでしょうね。

(※チャイロスズメバチは他のスズメバチが作った巣を途中で乗っ取ります。厳密に言うと、自分で作った巣ではありません。)

 

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