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千年の人違い?

加藤 春喜

今回は私が担当します!

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5月6日の昼下がり、時折、小雨が混じる霧の中、まだ雪が谷筋に残る標高1,000mあたりのブナ林を歩いていると、谷向かいの斜面からコノハズクの声が聞こえてきました。今シーズン初めての記録です。

 

コノハズクは日本最少のフクロウで、主に昆虫などを食べることから、冬は温暖な地域に移動し、夏の間だけ白川郷の森にやってきます。小さいうえに、基本的には夜行性であることから、見つけることが非常に困難で、私自身、白川村で12年以上暮らしていますが、まだ、本物?(捕らえられたものや死体以外)を見たことがありません。

 

しかしながら、例年、初夏になると宵の口頃に「ブッ コッ キョー」という特徴のある声で鳴き交わしていることから、その存在は容易に知ることができます。姿は見えずとも、声が印象的なこの鳥は、かなり古くから知られていたようで、鳥類学者の中村浩志氏の著作「甦れ、ブッポウソウ」によれば、コノハズクと思われる鳥の国内最古の記録は、約1100年前の918年8月13日にまで遡ることができるそうです。

 

そして、とりわけ、その存在をひろく世に知らしめたのが、弘法大師が仏の教えの三つの宝(仏・法・僧)を一つの鳥の声に聞くと詠んだ「閑林独座草堂暁、三寶之声聞一鳥」(性霊集)で、以来、仏の教えを唱える貴い霊鳥として「三宝鳥」や「仏法僧鳥」と呼ばれるようになったとあります。

 

ところが、図鑑を開くと‘ブッポウソウ’という名前の鳥は別にいます。地味な(失礼!)コノハズクとは違い、見るからに高貴な色の羽を身にまとった美しい鳥です。実は、1935年(昭和10年)まで、「ブッ(仏)コッ(法)キョー(僧)」のありがたい声の主は、このブッポウソウだと多くの人に信じられ、その名を冠するに至ったのです。

 

このような誤解が生まれた要因としては、まず、コノハズクとブッポウソウの生息域が被っていること。そして、コノハズクが人目にふれる機会が少なく、かつ地味なのに対して、ブッポウソウは美しく、人目につきやすいことなどが考えられます。人は見た目が9割といいますが、霊鳥と崇められるような鳥は美しいに違いないという、人々の正直な先入観の表れなのでしょう。そのような事情から、コノハズクは「声のブッポウソウ」と呼ばれることもあります。

 

他方で、コノハズクの名前の由来はというと、彼らのように、羽角と呼ばれる飾り羽をもつフクロウの仲間は、それが兎(ウサギ)の耳のようにも見えることから、奈良時代には「木に居る兎」、‘木兎’(ツク)と呼ばれていたそうです。コノハズクは「木葉」の「木兎」、つまり、木の葉のように小さいウサギみたいな鳥という意味と考えられます。何とも朴訥とした名前が、その人(鳥)となりを云い得て妙で、私は好きです。

 

千年以上もの永きにわたり、地味に人知れず生きながらも、気高く三宝(仏・法・僧)を世に唱え続けるコノハズク。そんな生き方に私は憧れます。

 

 

今年も小さな人生の先輩が白川郷の森にやってきました。

 

 

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