コノハズクは体長約20cmの日本でもっとも小さなフクロウです。
その小ささに加え、夜行性であること、虫を主食とする夏の渡り鳥であることから、葉っぱが生い茂る広い森の中でこの鳥を見つけ出すことはとても困難で、なかなかお目にかかれない鳥の一つです。白川郷の森に毎年やってきているのは、その特徴的な声で確認しているのですが、恥ずかしながら、私は野生状態のコノハズクをはっきりと目にしたことはありません。
(保護されたコノハズク)
ところが、オオコノハズクは何度も観察したことがあります。こちらは体長約24cm、翼を広げれば約50cmと一回り大きいのですが、そこそこ小さく、もちろん夜行性です。図鑑では一年を通じて日本で暮らす留鳥とされていますが、雪深い白川郷ではエサとなる虫や小動物をとることが困難なので、おそらく冬を越すことはないと思われます。したがって、ここではコノハズクと同じ、渡り鳥のようなものだと考えられます。(このように国内で移動する鳥を「漂鳥」と呼んだりします)
(オオコノハズク)
では、なぜオオコノハズクは目にするのか。その理由は、木の樹洞によくいるからです。
コノハズクの近種に、リュウキュウコノハズクがいますが、外山雅大氏のオオコノハズクとリュウキュウコノハズクの比較研究によれば、エサの選択肢が多いオオコノハズクの方が、リュウキュウコノハズクに比べて営巣のタイミングが早く、良い条件の樹洞を占有してしまうそうです。
また、営巣時期が遅れることで、ヘビによる卵やヒナの捕食リスクが高くなるリュウキュウコノハズクは、より高い位置の樹洞を営巣地に選ぶそうです。
沖縄と白川郷、ましてや近種とはいえ、異なる鳥の研究ではありますが、コノハズクにはなかなか出会えないわけだと納得させられました。
(リュウキュウコノハズク(画像提供:土屋若葉氏))
コノハズクについて興味を持たれた方は、拙稿「千年の人違い?」でも紹介していますので、ぜひ、チェックしてみてください。
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