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お茶の間ネイチャーガイド -似て非なるもの「カモシカとシカ」-

加藤 春喜

春になると通勤途中でカモシカをよく見かけるようになります

カモシカは名前にシカがついているクセに!?実はウシの仲間です。その由来は諸説あるようで、そのどれも個人的にはピンとこないのですが、少なくとも、カモウシよりはマシなセンスだと思うので、勝手に納得しています。(笑)

 

ピンとこないといえば、「カモシカのようなあし」もそうです。「足」か「脚」かにもよりますが、ニホンカモシカの脚は、スマートとは言い難いたくましい印象で、私が妻に向ってこんなことを云おうものなら怒られそうです。もともと日本にはいないインパラなどのアンテロープ(羚羊)の仲間の脚を例えたものらしいのですが、「インパラのようなあし」と言っても多くの日本人には伝わらないので、分類的に近い日本に生息する動物で代用したとのこと。なので、正しくは「ニホンカモシカに分類的に近いアンテロープの仲間のようなあし」となります。これならご理解いただけるかどうかはともかくとして、わが家の平穏は保たれることでしょう。(笑)

 

日本に棲むカモシカとシカの生き様の大きな違いは、群れるかどうかです。森の中でポツンと暮らすカモシカは、ライバルが隣にいない分、エサを選り好みすることができますが、群れて暮らすシカにそんな余裕はありません。必然的に大量にあるエサを食べることになります。豪雪地帯の白川郷では、冬は森が雪ですっぽりと覆われることから、大量のエサを必要とするシカは越冬できないと云われていましたが、今年のような雪不足が続けば、シカの群れが定着して、これから旬を迎える山菜などを根絶やしにしてしまうかもしれません。

カモシカは冬でも雪面から出ているわずかな冬芽などを食べて暮らしています

 

山菜の心配はシカに限った話ではありません。地元の人が選りながら加減して山菜を採るのに対し、村外からやってきて、見境なく大量の山菜を採っていく人たちがいます。彼らにとってはここに山菜がなくなっても、別の土地へ行けばよいのでしょうが、ここで暮らす人々にとっては、先祖が遺してくれた大切な資源です。これらの森の恵みがいつまでも受け継がれていくように大切にしたいものです。

 


クサソテツの若芽が出始めました 白川郷ではクグミやコゴミと呼ばれています

 

 

 

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