
(画像1 フジの花)
5月中旬にフジの花が自然學校の周辺で咲き始めました。
昔から「テンカラはフジの花が咲く頃からだ」と言われることがあります。
この台詞を聞いて“おっ”と思われたあなたは釣り好き、または川の近くで生まれ育った方ではないでしょうか。釣りをしない人からすると、いったい何のことか見当もつかないかと思います。テンカラとは渓流釣りの1つで、毛バリと糸と竿だけのとてもシンプルな釣りの方法です。“テ TenkaraUSA”というアメリカのブランドもあるくらい世界的にも人気が出てきています。なぜこの頃かと言うと、融雪が進み水温や水量が落ち着いたこの頃から魚の活性が上がり、一番良いシーズンがはじまります。
(画像2 釣りがテーマの子どもキャンプの1コマ)
私自身、白川郷に来てからこのテンカラ釣りを始めました。自然學校の釣り好きな先輩と一緒に竿を買いに行き、その日にビギナーズラックなのか川でイワナを釣り上げ、とても興奮したことを今でも覚えています。
それをきっかけに見事にハマってしまい、村の釣りの達人にお願いし釣りを教えてもらう日々が始まりました。まだ薄暗い朝4時集合が基本で、それから自然学校へ行き昼休みも川へ、夕方に仕事が終わればまた川へ。あっという間にそんな釣り中心の生活に。ただ、ハマりやすく熱しやすい性格は冷めやすくもあるのか、だんだんと川へ行く頻度は下がっていきました。
(画像3 手作りゼンマイ毛バリ)
そんな頃に、自分で毛バリを巻いてみようと思い、早速、村の釣りの達人に教わりながら白い羽に白い糸で、とてもシンプルな毛バリを巻いてみました。実際に自分で巻いた物を使ってみると、釣れた時のその喜びは初めて釣れたときの何倍も嬉しく感じました。テンカラを始めた頃が第1ブームだとすれば、第2ブームがこの頃始まりました。
(画像4 イワナ-ゼンマイ毛ばり)
それから数年、春に禁漁が解けシーズンが始まれば毛バリを巻き、竿を持って川へ行っていましたが、ここにきて第3のブームがやってきました。それは森の素材を活かした毛バリ作りがきっかけです。
(画像5 左から:うさぎの毛,アオバトの羽根,ゼンマイの綿)
いつかはやってみたいと思っていたら、ある日私の机の上に鳥の羽が置いてありました。釣り好きを知っていたスタッフが、森で拾った羽を毛バリの材料にと届けてくれたのです。幸いにも、私の周りは森の素材を得るには事欠かない環境です。春先には道端にウサギの白い冬毛が落ちていたり、ゼンマイが生えればその綿毛も貴重な材料です。今まで使っていた市販されている材料に比べるとサイズは不揃いで質も決して高くありませんが、採れた場所まで明らかなトレーサブルな素材です。
それらを使った毛バリで、実際に川で魚を釣り上げるまでの時間は、今までにない全身がゾクゾクするような感動に包まれていました。魚との真剣勝負に森の素材で勝ったことが嬉しくて仕方ありませんでした。
“この地で集めた材料を使って、この地の魚を釣る。”そんなサイクルがたまらなく気持ちよく、気づけばまた川へ出掛けてしまいます。
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コメント
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